ECサイトのSEO対策は、顧客が商品を手にとって確認できないオンラインストアにおいて、集客と売上を左右する重要な要素です。検索エンジンのアルゴリズムは常に進化しており、ECサイト運営者はSEO対策を理解し、都度実行する必要があります。
本記事ではECサイトのSEO対策の重要性から、具体的な対策方法、注意点まで、ECサイト運営者が知っておくべき情報を初心者の方にもわかりやすく紹介します。
SEO対策とは
まずはSEO対策について理解しましょう。
SEOとは「検索エンジン最適化（Search Engine Optimization）」の略です。
自社サイトを最適化し、検索エンジンからの評価を高めて特定のキーワードで上位表示させるための施策です。
SEOの主な施策内容は３つに分けられます。
・外部対策
・内部対策
・コンテンツ
1つずつ解説していきます。
外部対策
外部対策とは外部のサイトから被リンクをもらったり、SNSでの拡散・シェアなどにより検索エンジンの評価を高めて上位表示を目指す手法です。Web上のあらゆるサイトから自サイトへのリンクがあると、検索エンジンは「みんなが紹介したい価値のあるサイトだ」と認識し、検索順位も上がりやすくなります。
そのため、たくさんのユーザーから紹介したいサイトと思ってもらえるようなサイト作りが必要です。
内部対策
内部対策は、Webサイト内部の最適化施策で、テクニカルSEOともよばれます。テクニカルSEOはhtmlタグの設定や内部リンク最適化など、検索エンジンがサイトの構造を理解しやすくするための施策です。
コンテンツSEO
コンテンツSEOは、ユーザーのニーズを満たす高品質なコンテンツを発信し、検索上位を目指す手法です。狙ったキーワードでユーザーの役に立つ情報を提供し、流入を促します。ユーザーの検索意図に沿った回答を発信し、コラムやホワイトペーパーなど自社独自のコンテンツでユーザーのニーズを満たせれば、自社の商品ページやサービスページに誘導することもできるでしょう。
ECサイトはSEO対策が重要
ECサイトを運営する上でSEOは非常に重要な施策と言えます。
なぜECサイトにSEO対策が重要なのか
まず、ECサイトのゴールを考えてみましょう。ECサイトの最終的なゴールは商品やサービスを購入してもらいweb上で利益を上げることです。web上には競合サイトも複数存在するでしょう。その中で自サイトの商品を選んでもらうためには、たくさんのユーザーに来てもらい、自サイトの商品の良さを知ってもらう必要があります。そのためにはSEO対策で上位に表示させることが必要となります。
広告で特定のユーザーにアピールすることは可能ですが、SEO対策を行い色んなキーワードで上位を取れると、広告費用を抑えてたくさんのユーザーに見てもらえるでしょう。
ECサイトSEOのキーワード選定と洗い出し
ここからはキーワード選定の考え方や洗い出しについて説明します。
キーワード選定の重要性
ECサイトのSEOにおいてキーワードの選定は非常に重要です。
検索ボリュームの多いキーワードばかりを狙っても、「上位表示されない」「ユーザーの検索意図と違うページが表示される」など、売上につながりにくい状況に陥ることが多いでしょう。検索ボリューム、競合性、顕在層向け、潜在層向けなどバランスを考えて自サイトが狙えそうなキーワードを設定することが重要です。
筆者のおすすめはロングテールのキーワードです。
ロングテールキーワードは複数の単語の掛け合わせキーワードで検索ボリュームが少ないが、競合が少なく上位表示しやすいというメリットがあります。
また、ユーザーのニーズが具体的に反映されているのでコンバージョン率が高いのが特徴です。
例えば、胡蝶蘭を販売しているECサイトの場合「胡蝶蘭 通販」というビッグキーワードを取りたいところですが、「胡蝶蘭 選挙 お祝い」や「胡蝶蘭 誕生日 5000円」などのキーワードで上位を取れればユーザーの検索意図を満たしているページがヒットするので購入してくれる可能性は高いはずです。
このように自サイトの特徴や競合とのバランスを考えてキーワードの設定を行うことはECサイトで成功するためには必要不可欠でしょう。
商品名、型番、関連キーワードの洗い出し
ECサイトのSEO対策において、「商品名、型番、関連キーワード」の洗い出しは、ユーザーがあなたのECサイトにたどり着くための最初のステップです。ユーザーがどのようなキーワードで商品を検索するかを考えてリスト化することで、SEO対策の方向性が決まります。
このプロセスを丁寧に行うことで、より多くの潜在顧客にも効果的にアプローチすることが可能となります。
商品名と型番の洗い出し
まず、自社ECサイトで取り扱っている商品について、正式な商品名と型番をリストアップします。これは、ユーザーが特定の商品名や型番で検索する際に最も直接的で重要キーワードとなるため、網羅できるようにしましょう。
正式名称の確認
メーカーが提供している正式な商品名を表記の揺れがないように統一しましょう。
略称や通称も把握しておくことを推奨します。
型番のリスト化
型番は商品を正確に識別するため情報でとても重要です。型番で検索するユーザーも多いため、正確にリスト化しましょう。製品によってはカラーや付属品などによって細かく型番が分けられますので、それぞれ忘れずに記録しましょう。
ここまでECサイトのターゲットキーワードの考え方について説明してきました。
次からはより具体的なSEO対策について説明します。
ECサイトの具体的なSEO内部対策
ここからは具体的なECサイトのSEOについて解説します。
商品情報の充実と最適化
商品一覧に表示される情報も、SEOとユーザーエクスペリエンスの両方に影響します。
商品情報の充実
商品数はECサイトにおいて非常に重要な要素です。
例えばA店とB店で同じようなECサイトを運営していたとします。
A店が50商品の掲載、B店が100商品の掲載がある場合にB点のほうがSEO的に有利に働くことが多いです。ユーザーは色んな商品を比較検討し、購入に至りますので沢山の商品を比較できるサイトのほうが利便性が高く検索エンジンから評価を受けやすいということです。
商品名の最適化
商品名には、商品カテゴリ、ブランド名、関連キーワードなどを盛り込み、ユーザーが検索する可能性のある言葉を含めるようにしましょう。各商品毎に重要なキーワードが抜けていると機会損失に繋がる可能性が高くなります。競合サイトを参考に漏れがないようにチェックすることも必要です。
価格やレビュー情報の表示
価格やレビュー情報を一覧に表示することで、ユーザーは商品の比較検討をしやすくなり、利便性が向上します。また構造化マークアップを適切に行うことで、検索エンジンに対して商品情報（商品名、価格、レビュー評価など）をより正確に伝えることができます。これにより、検索結果にリッチスニペットとして表示される可能性が高まり、クリック率の向上に繋がります。
わかりやすいカテゴリ構造とURLの設定
どのカテゴリに商品一覧ページが属しているのかをわかりやすく設定しましょう。
分かりやすいURL構造にすることで検索エンジンの評価も上がり、ユーザーにとって使いやすいサイトという印象を与えることができます。
筆者はURLにターゲットキーワードを含めることを推奨しています。
例： https://example.com/目的から探す/お祝い/開店・開業・開院お祝い/
パンくずリストの設置
パンくずリストはユーザーがサイト内のどこにいるのか把握しやすくなり、サイト内の回遊率も向上します。また検索エンジンもサイトの構造を理解しやすくなります。内部リンクの役割も担っているので重要なページに内部リンクを集めることができます。
例： トップへ戻る>商品一覧>目的から探す>お祝い>開店・開業・開院お祝い
hタグ（見出し）の設定
ECサイトのhタグ（h1～h5）は、ページ内の構造を伝える重要な要素です。検索エンジンはhタグをページの内容を理解する手がかりとします。また、ユーザーもhタグでにコンテンツの内容を把握します。
<h1>タグは、そのページ内で最も重要な見出しとなります。<h1>タグは原則として各ページに1つだけ設定し、ページの内容を簡潔に記述しましょう。
<h2>以下のタグにも、関連性の高いキーワードを自然な形で含めましょう。見出しにたくさん関連キーワードが設定されていると専門性の高いページと評価されて狙ったキーワードで上位表示を狙いやすくなるでしょう。
ただし、キーワードの詰め込みすぎには注意しましょう。適切に設定することが重要です。
※商品カテゴリページでのhタグ活用例
h2 用途から探す
h2 大輪胡蝶蘭
h3 胡蝶蘭 大輪 42輪～45輪 3本立ち 白
h3 胡蝶蘭 大輪 30輪～33輪 3本立ち 白
h2 ミディ・ミニ胡蝶蘭
h3 ミディ・中輪胡蝶蘭 ３本立ち ピンク
h2 色から選ぶ胡蝶蘭
h2 胡蝶蘭のよくあるご質問
タイトル・メタディスクリプションの設定
タイトルタグは検索結果に表示される実際にクリックする箇所となります。適切に設定することでクリック率に大きく影響します。重要なキーワードを盛り込み、簡潔にページの内容を設定しましょう。
例： 胡蝶蘭 通販｜お祝い胡蝶蘭のギフトなら◯◯
メタディスクリプションは、検索結果のtitleの下に表示される、120文字程度のページの内容の要約です。具体的な商品の特徴や魅力を記載し、ユーザーがクリックしたくなるように作成しましょう。
例： お祝い事や贈り物に胡蝶蘭をお探しなら◯◯へ。開店祝い、開業祝い、お供えなど、様々なシーンに合わせた高品質な胡蝶蘭を豊富に取り揃えております。産地直送の新鮮な胡蝶蘭を、経験豊富なスタッフが丁寧にお選びし、お客様の気持ちを伝えるお手伝いをいたします。法人様向けの大口注文も承っております。
絞り込み・並び替え機能の最適化
ユーザーが目的の商品を見つけやすくするための絞り込み機能や並び替え機能も、SEOの観点から重要です。絞り込みの項目（色、サイズ、価格帯、ブランドなど）は、ユーザーが検索する可能性のあるキーワードを意識して設定しましょう。
また、「価格の安い順」「価格の高い順」「新着順」「レビュー評価の高い順」など、並び替えのオプションを提供することで、ユーザーのニーズに応えやすくなり利便性の向上が期待できます。
※注意点
絞り込みや並び替えの組み合わせによっては、重複コンテンツとみなされる可能性があります。robots.txtやcanonicalタグなどを適切に設定し、不要なページのインデックスを制御しましょう。
モバイルフレンドリー対応
近年、webサイトへのアクセスの多くはスマートフォンが主流となっています。ECサイトにおいても、スマートフォンからのアクセスは大きな割合を占めており、モバイルフレンドリー対応は、売上向上と顧客満足度向上のための必須条件といえるでしょう。モバイルフレンドリーに対応したサイトは、スマートフォンやタブレットの小さな画面でも見やすく、操作しやすいように設計されています。これにより、ユーザーのストレスがなくなり、顧客満足度やリピート率の向上にも繋がります。
また、Googleは、モバイルファーストインデックス（MFI）を導入しており、モバイル版のコンテンツを評価して検索順位を決定しています。モバイルフレンドリーに対応していないサイトは、検索順位も低下する可能性がありますので必ず対応しましょう。
ECサイトの外部対策
サイト評価を上げるためには外部対策も重要な要素です。
外部対策は主に被リンクの獲得とサイテーションが２つがあります。
被リンクの獲得
被リンクとは、外部のWecサイトが自サイトへリンクを設置することです。
これは、第三者のサイトが自サイトのコンテンツを評価してくれて自分のサイトでも紹介・参考にしており信頼している証とみなされます。Googleは、ユーザーが有益な情報を共有する自然な行動を評価の指標の一つとしており、質の高い被リンクが多いほど、そのサイトは専門性や信頼性の高いサイトであると認識されやすくなります。
ただし、Googleのガイドラインに違反した方法でリンクを獲得してはいけません。
Googleから自作自演のリンクと判断された場合はWebサイト全体にペナルティが
科せられることがあります。具体的には、検索順位の大幅な低下や、最悪の場合、検索結果からの削除されることもあります。
ペナルティの影響は甚大で、被リンクを獲得したページだけでなく商品ページや商品一覧ページといったECサイトの主要なページも軒並み検索順位が100位以下に急落する可能性があります。
Googleのガイドラインを遵守し適切に被リンクを獲得しましょう。
参考：https://developers.google.com/search/docs/essentials/spam-policies?hl=ja#link-spam
サイテーションの獲得
サイテーションとは、ウェブ上で自社のブランド名、商品名、サービス名、電話番号、住所などの情報が言及されることです。
Googleが公式にサイテーションのSEO効果を明言しているわけではありませんが、Web上で言及数が増えることは、認知度向上に繋がり、結果的にWebサイトへの流入が増える可能性があります。特にローカルビジネスにおいては、地域情報サイトやSNSでのサイテーションが重要になると考えられます。ECサイトにおいても認知度向上により流入数の増加が見込まれます。
ECサイトのコンテンツSEO
コンテンツSEOとは、ユーザーの検索意図に合った質の高いコンテンツを継続的に提供し、検索結果からの流入を増やすSEO手法です。特にユーザーの疑問を解決するような記事ページでの対策が効果的で、ECサイトでもメインコンテンツに加え、記事型コンテンツの運用が重要です。
以下の2テーマは実際に筆者が胡蝶蘭のECサイトのコンテンツSEOに取り組んだ際に効果のあった（流入がとれた）ものです。
・胡蝶蘭の育て方
・失敗しない胡蝶蘭の選び方
このような記事でユーザーの「知りたい情報」を発信していきましょう。
結果的にユーザーのほしい内容がたくさん掲載されているサイトとなり、
検索エンジンの評価も高まっていきます。
また、このような記事を「記事」だけで終わらせないのもポイントです。
有益な情報を発信しているコンテンツから関連性のある
自社のカテゴリ・商品ページに内部リンクで遷移を促します。
ユーザーの「知りたい」を解決し、次のフェーズの「興味がある」「この商品がほしい」
につながったタイミングで商品ページに遷移させることができればコンバージョンに
繋がりやすくなるはずです。
このように、ユーザーの「知りたい」をきっかけに自社の商品をアピールすることも考えましょう。
重要コンテンツには気をつけましょう
重複コンテンツとは、自社サイト内や他サイトに存在する同じようなコンテンツを指します。
Googleは、悪質な重複コンテンツに対してペナルティを科すことがあります。
気づかないうちに同じようなテーマでコンテンツを作成し重複とみなされる可能性もあるため、執筆前にテーマの重複がないか確認することを推奨します。
まとめ
本記事ではECサイトにおいて、集客と売上を大きく左右するSEO対策の重要性から具体的な対策方法、注意点まで解説しました。
ECサイト運営においても、常に進化する検索エンジンのアルゴリズムに対応しながら本記事内で解説した内容を参考にSEO対策内容を実践いただければ、自社ECサイトのページが上位表示され、流入数も増加し売上向上が見込めまれるでしょう。
本記事が皆様のECサイト運営の成功の一助になれば幸いです。
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